トランセンドはこれで通算19戦10勝(地方、海外含む)。GIレースは2010年JCダート、11年フェブラリーステークス、同マイルチャンピオンシップ南部杯に続き4勝目となった。
一方、2馬身差の2着には和田竜二騎乗の5番人気ワンダーアキュート(牡5=栗東・佐藤正厩舎)。2強対決として注目を集めた佐藤哲三騎乗の2番人気エスポワールシチー(牡6=栗東・安達厩舎)は2着からハナ差遅れる3着に敗れた。
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まさに横綱相撲。砂ナンバーワンは誰なのか、それを完ぺきなレースでアピールしてみせた。
「行って負けたら仕方がない、それくらいの出来でしたからね」
レース後、そう語ったのは主戦の藤田。戦前、トランセンドの枠順が逃げるには不利と言われている大外16番枠に決まったことで、その出方やエスポワールシチーとのハナ争いに注目が集まっていた。だが、藤田は迷うことなく“逃げ”一本の選択だった。
「最近は二の脚が遅くなっているけど、スタートは本当に速い馬。こっちがどこまででも行く気を見せればと思っていたし、1コーナーまでロスが響いても、行き切ってしまえば勝てると信じていました」
最大のライバル・エスポワールシチーも予想通り先手をうかがったが、言葉どおり“どこまででも”ハナを主張。「エスポワールシチーに行かせたら負けるかもしれない。自分の競馬をすれば一番強い」。相棒を全面信頼する覚悟の騎乗でついにハナを取り切ると、前半で多少ペースが速くなろうが、後ろからプレッシャーをかけられようが、藤田には勝利への確かな手応えが宿っていた。
「ハナに行った時点で押し切れると思っていましたから」
南部杯、JBCクラシックとここ2走は2番手からの競馬。南部杯は勝つことができたがアタマ差の辛勝、そしてJBCクラシックはスマートファルコンに及ばず2着。当然、藤田にとっては満足できるものではなかった。
「ハナに行ったときと2番手からとでは、勝負どころの行きっぷりが違う」
やはりトランセンドにとって、ベストの戦法は逃げ。この形に持ち込めば誰にも負けない、それを証明した2馬身差の完勝だった。
「正直言って、レース前は16番枠ということで不安もありましたが、馬に対して失礼なことでしたね。本当に強いレースでした」
そうトランセンドを称えたのは安田隆調教師。トレーナーもまたトランセンドの逃げには全面の信頼を置いており、「この馬に関しては行ってしまえば何とかなる。今日は見ていて安心できる内容でしたね」と振り返った。
厩舎にとって初のJRA・GI制覇となった思い出のレースから1年、愛馬はさらにたくましく成長。そのパワーアップ振りに目を細めながら、安田隆調教師は今後の展望をこう明かした。
「心身ともに昨年より上。来年もフェブラリーステークスからドバイへ行きたい。さらなる飛躍があると思いますし、来年こそはぜひドバイを獲りたいですね」
世界を驚かせたドバイワールドカップ2着を、もう誰もフロックとは言わないだろう。伏兵としてではなく、今度は“主役”として堂々と世界の頂点を狙う。
スポーツナビ 12月4日(日)17時56分配信
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